マレーシア移住するには知っておきたい!宗教事情と注意すべきイスラム教の掟

マレーシアは、多宗教国家でありイスラム教が国教とされています。
そんな、マレーシアの宗教事情はどうなっているのか知らない人も多いと思います。
この記事を読むことで、マレーシアの宗教事情を理解するだけでなく、日本人の知らないイスラム教の掟についても知ることができます。
宗教事情やイスラム教の掟を知ることで、マレーシアでのトラブルを回避するだけでなく、お互いを尊重できるようになるはずです。
Contents
マレーシアは多宗教国家

マレーシアは多宗教国家で、仏教、ヒンドゥー教、キリスト教、イスラム教などが共存しています。
人口の64%がイスラム教、19%が仏教、9%がキリスト教、6%がヒンドゥー教です。(2023年マレーシア統計局)
各宗教の寺院や教会、モスクが共存し、宗教的な祭りや行事は国中でさまざまな形で催されています。
例えば、ヒンドゥー教のディーワリ祭りや仏教のウェサクなど、異なる宗教の祝祭が国全体で祝われ、多様性が豊かな文化を形成しています。
この宗教的な多様性が、マレーシアの社会において異なる信仰共同体が互いに尊重し合いながら共存する基盤を築いています。
マレーシアの国教はイスラム教

そんな、多宗教国家のマレーシアの国教はイスラム教です。
国内の文化や法律にもイスラム教が深く根ざしています。
イスラム教の信仰は、国内の多くのモスクでの礼拝や日常生活において感じることができ、法律的にも、婚姻法や飲酒規制、結婚式の儀式などにおいて、イスラム教が影響を及ぼしています。
さらには、国内の飲食文化もイスラム法に基づいているため、ハラール認証が必要な食品やレストランが一般的です。
なぜ、マレーシアでイスラム教が国教になったのか
イスラム教がマレーシアの国教となった理由は、マレー半島で成立した王国が関わっています。
14世紀末に設立されたマラッカ王国は、東西貿易の中心地として栄え、海上貿易により多くの人々が訪れ、アラブやインドの商人であるイスラム教徒の影響を受け、マラッカ王国はのちにイスラム教国となりました。
その後、イギリスやポルトガルの侵略により、マラッカにキリスト教が伝わり、植民地時代には中国系やインド系の移民が働き手として移り住むようになります。
これにより、仏教やヒンドゥー教の教えも移民とともに伝わり、マレーシアにはさまざまな宗教が存在する多宗教国家になりました。
宗教に関連した休日が多いマレーシア

多宗教国家であるマレーシアは、宗教の行事はそれぞれの宗教に基づいて行われており、その行事は数多く存在しますが、どの宗教のものも国民の祝祭日とされています。
たとえば、各宗教の開祖の誕生日は全て休日です。
仏教のウェサックデーは、5月頃(中国暦の4月15日)に行われ、日本では花祭りとしていられています。
これは仏教の教祖である釈迦の誕生祭です。
一方で、ムハマンド生誕祭は11月頃(イスラム歴の3月12日)です。
日本で一般的な12月25日のクリスマスも、イスラム教徒が多いにもかかわらず、ショッピングモールではクリスマスツリーが飾られ、他の誕生祭と同様に受け入れられています。
各宗教や暦に基づく正月も休日として扱われています。
太陽暦の1月1日に祝われるニューイヤーズデーから、イスラムの正月であるアワルムハラム(9月頃、イスラム歴の1月1日)まで、さまざまな休日が存在します。
また、旧正月である2月(中国暦1月1日)のチャイニーズニューイヤーは、中国系の人々にとっては特筆すべきイベントです。
このように年間を通じて、各民族や宗教ごとにさまざまな行事が開催されています。
そして、これらの行事において異なる宗教の人々は寛容に受け入れ、お互いに尊重し合いながら共存しています。
ココに注意!イスラム教の掟

日本では、馴染みの薄いイスラム教。
イスラム教には、日本で生活していたら想像のつかないような掟がいくつか存在します。
ここでは、そんな以下の掟について説明していきます。
- 豚肉を食べるのは禁止
- 女性は肌の露出は禁止
- 1か月の断食期間がある!?
- 1日5回のお祈り
それでは、ひとつずつ見ていきましょう。
豚肉を食べるのは禁止
イスラム教徒は豚肉を食べません。
日本人からすると、豚肉を食べないなんて理解できないかもしれませんが、イスラム教徒にとっては普通のことであり、それを食べたいと考えることもないようです。
同じように牛肉を禁止しているヒンドゥー教では、「牛が神聖な存在」とされています。
しかし、イスラム教が豚肉を食べない理由は「豚は不浄な生き物」とされているからです。
マレーシアでは「ハラル」(許容される)と「ノンハラル」(禁じられる)という言葉が頻繁に使われます。
ハラルはイスラム教徒が食べられる食品を指し、「ノンハラル」は避けるべき食品を指します。
ノンハラルの中には豚肉やお酒などが含まれます。
イスラム教の教えにのっとって処理されていない他の肉も摂取することができないため、豚肉以外も注意が必要です。
そのため、豚肉以外ならなんでも食べられるとは限りません。
また、スーパーマーケットでは「ハラル」と「ノンハラル」が分かりやすく示されています。
マレーシアは多様な文化や宗教が共存する国であり、イスラム教徒の割合が多いものの、その他の人たちは豚肉やお酒を求めるため、大きなスーパーマーケットには必ず「ノンハラル」のエリアがあります。
女性は肌の露出は禁止
イスラム教では、女性が肌を露出するのは禁止です。
そのため、街を歩いていると、女性たちが、「ヒジャブ」という髪の毛を覆うためのスカーフを巻き、伝統的な衣装「バジュ・クロン」を着て肌を隠しています。
皆さんがイメージするような黒い衣装だけではなく、カラフルで可愛らしいヒジャブやバジュ・クロンを身に付けている人もたくさん見かけます。
ヒジャブを留めるピンなども可愛らしく、マレーシアの女性たちはイスラム教の規則の中でファッションを楽しんでいます。
1か月の断食期間がある!?
ラマダンという、1ヵ月間にわたる断食期間があります。
「そんなに長い間、何も飲まず食わずで過ごせるの?」と疑問に思う方もいると思いますが、実際には1日中絶食するわけではなく、日没から日の出までの間に飲食が許されているので、実際には飲まず食わずで一か月過ごすわけではないです。
ラマダンの時期になると、夜7時ごろにレストランでみんなが日没を待ちわび、日没と同時に一斉に食事を始める光景が見られ、朝も5時ごろに起きて朝食をとるといった流れです。
日中は水分摂取も制限されているため、かなり厳しい経験だと思いますが、このラマダン期間を通じて食べ物や飲み物のありがたみを実感することができ、これがイスラム教徒にとって非常に重要な行事であるとされています。
ちなみに、子供や妊娠中、病気の人などは断食を行わなくてもいいようです。
そして、1カ月のラマダン明けには「ハリラヤ・プアサ」と呼ばれるお祝いが盛大に行われ、この日は豊かな食事が用意され、近隣の人々に振舞います。
イスラム教徒以外の人々も歓迎されるため、この日は花火が打ち上げられ、街全体がお祭りムードです。
1日5回のお祈り
マレーシアでは、1日に5回、大音量でアザーンが街中に響き渡ります。
アザーンは礼拝の呼びかけで、そのうちの1回目は朝6時ごろに流れるため、アザーンの音で目を覚ますことがあるでしょう。
アザーンが流れると、イスラム教徒はメッカの方角に向かってお祈りをします。
1日に5回、早朝、正午、午後、日没後、就寝前にお祈りが行われます。
金曜日は特別な日とされており、男性は正午の礼拝のために仕事やデートを中断して礼拝所に集まり、お祈りを捧げる義務があります。
そのため、金曜日は仕事中やデート中でもお祈りに行くことを欠かしません。
まとめ|マレーシアの宗教多様性とイスラム教の掟
マレーシアは多宗教国家で、イスラム教が国教とされています。
その他にもマレーシアでは仏教、ヒンドゥー教、キリスト教も広く信仰され、異なる宗教が共存します。
一方で、イスラム教は、法律や文化に深く根ざしており、ハラール食品や礼拝などが一般的です。
宗教的な行事も多く、異なる信仰共同体が寛容に共存しています。
イスラム教の掟として、豚肉の禁忌や女性の服装、ラマダンの断食などについても解説しました。
これらを理解することで、マレーシアでのトラブル回避や各宗教を尊重することできるでしょう。
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