マレーシアの大麻事情|渡航前の注意点や非犯罪化の動きについて解説

マレーシアの大麻規制は大変厳しく、死刑や無期懲役に処されることが当たり前な状況でした。
ただ現在は、大麻や大麻成分を含む薬物の取締りを緩和する動きがあります。
この動きに伴い、外国人観光客による薬物トラブルが増加傾向にあり、違法薬物と縁がなかった一般人が犯罪に巻き込まれるケースも増えています。
本記事ではマレーシアの大麻規制の内容や、マレーシアで大麻に関するトラブルに巻き込まれないための注意点について解説します。
Contents
マレーシアの大麻規制は厳格!極刑の可能性もある

マレーシアでは、少量の大麻所持に限り非犯罪化が進められています。
ただし、密輸入や売買目的の大量所持の刑罰は依然厳しく、外国人も例外ではありません。
そこで本章では以下3項目について解説します。
1.マレーシアの大麻規制はどれくらい厳しいのか
2.大麻の大量所持は死刑の可能性もある
3.CBDへの規制について
日本とは大麻に対する考え方が違うので、マレーシアに渡航する予定がある方はぜひ参考にしてください。
1.マレーシアの大麻規制はどれくらい厳しいのか
これまでマレーシアでは、大麻や覚醒剤などの違法薬物の所持は、外国人であろうと厳しく取り締まられていました。
大麻の場合は、販売目的の所持や200g以上の所持は死刑、200g以下の所持でも無期懲役刑に科されることが一般的でした。
ですが、2019年より少量の大麻所持や使用に限り、規制緩和が行われ「違法ではあるが逮捕はしない」という方針をとっています。
日本で例えるならば、未成年の飲酒やタバコは違法ではあるが、厳しく取り締まられていないという状況に似ています。
2.大麻の大量所持は死刑の可能性もある
少量の大麻所持は非犯罪化されているものの、200gを超える所持や売買目的の所持は依然として死刑や無期懲役などの重い罰が下ります。
【マレーシア 危険薬物法(1952年)より】
・麻薬等の危険薬物の違法売買は死刑であり、所持は最高で無期懲役の重刑が科せられる
・ヘロイン、モルヒネは15g以上の所持で死刑の可能性がある
・大麻(マリファナ、カンジャ)であば200g以上の所持で死刑の可能性がある
200g以上の大麻所持は売買目的とみなされます。
「外国人だから少しくらいは大丈夫だろう」といった考えは絶対に通用しません。
マレーシアで麻薬犯罪に巻き込まれないように、後述する注意点に留意してください。
【関連:マレーシア|安全対策基礎データ(外務省)】
2.CBDへの規制について
CBDとは大麻の茎や種子から抽出される、カンナビノイド成分のひとつです。
一般的に違法薬物の使用後は、ハイになる・多幸感があふれる・中毒症状を起こすなどがありますが、CBDはリラックスや鎮静効果があるとされています。
精神作用や中毒性がないことで知られ、世界各国のセレブをはじめ、医療・美容業界からも注目を集めています。
商品はオイル・カプセル・パウダー・飲料・ガム・グミ・クリームタイプなどで販売されています。

マレーシアの場合、CBDは大麻と同等に扱われており、200g以上のCBD所持は極刑に処される可能性があります。
日本の店舗や通販サイトでCBDが購入できる事実を知り、驚く外国人の方も少なくありません。
諸外国では基本的にCBDは大麻と同じ扱いになっているため、海外渡航の際のCBD所持はおすすめしません。
マレーシアで大麻所持が非犯罪化された理由

マレーシアで大麻が非犯罪化されたきっかけ、経緯について解説します。
主な理由は以下の3つです。
1.大麻所持の非犯罪化のきっかけ
2.大麻所持における「非犯罪化」の定義
3.日本での大麻所持における罰則
日本の罰則も踏まえて、それぞれ詳しく解説します。
1.大麻所持の非犯罪化のきっかけ
きっかけは、2018年に癌患者など数百人に、大麻オイルと乾燥大麻を販売した男性に死刑判決が下ったところから始まります。
男性は医療大麻の慈善活動家を名乗っており、自宅から約260gの大麻が押収されました。
男性はこれまでに800人を超える人に医療大麻を供給しており、世間から死刑執行の取り消し医療大麻の合法化の声が高まります。
これを受けて、当時のマレーシア首相が判決の撤回を要請し、マレーシア政府は大麻の非犯罪化への取組みに動き出しました。
さらに、薬物問題を解決するために薬物依存者を犯罪者ではなく、患者として扱う意向を示し、薬物関連の問題解決に国家で取り組んでいます。
2.大麻所持における「非犯罪化」の定義
マレーシアの大麻所持における非犯罪化とは、「違法ではあるが、逮捕までは至らない軽犯罪として扱うこと」です。
自転車の飲酒運転は本来、違法ではあるが、逮捕にまでは至らないといったケースがほとんどです。
よほど悪質ではない限り、厳しく取り締まられていません。
これと同じようにマレーシアでは、少量の大麻所持に限り非犯罪化となっています。
3.日本での大麻所持における罰則
日本での大麻の所持・販売・譲渡は大麻取締法により、厳しく規制されています。
ただし、大麻の茎や種子は規制対象から除かれているため、CBD(カンナビジオール)の場合は合法となります。
大麻の花や葉の場合は、精神の興奮作用が働くTHC(テトラヒドロカンナビノール)という成分が含まれ、依存性もあります。
最近は、大麻グミに関する話題がニュースで連日取り上げられていましたが、この大麻グミの成分はHHCH(ヘキサヒドロカンナビヘキソール)で、THCと非常によく似ていることがわかりました。
安全性についての保証は、臨床試験で十分確認されているとは言えない成分なので、マレーシアや諸外国への持ち込みはやめましょう。
【関連:大麻取締法(厚生労働省)】
マレーシアでの大麻所持は厳禁!滞在時の注意点を解説

マレーシアへの渡航前や滞在中、一歩間違えれば自分自身も犯罪に巻き込まれる可能性があります。
2016年には、日本人が大量の覚醒剤が入ったスーツケースを他人から預かり、マレーシア国内に持ち込んだとして死刑判決を受けています。
マレーシアで犯罪に巻き込まれないために、以下3つに留意してください。
1.出入国時に知らない人から荷物を受け取らない
2.危険を感じたらその場から素早く離れる
3.ヒッチハイクをしない
マレーシアに限らず、海外へ渡航する場合は細心の注意を払いましょう。
【関連:5.各種取締法規に関する留意事項(在マレーシア大使館)】
1.出入国時に知らない人から荷物を受け取らない
自分では気づかないうちに「運び屋」として利用される可能性があります。
出入国の際に、見知らぬ人物や知り合ったばかりの人物から「〇〇さんへのお土産に、この箱を持っていってほしい」と頼まれた場合は、毅然とした態度で拒否しましょう。
2.危険を感じたらその場から素早く離れる
マレーシアの警察が捜査を行う場合、現場にいる人は一旦全員が検挙されます。
路地裏など、麻薬取引が行われている可能性が高い場所は、絶対に立ち寄らないようにしましょう。
また、ふらっと入ったお店や周りにいる人に不穏な空気を感じたら、素早くその場から離れるようにしましょう。
3.ヒッチハイクをしない
バイクや自動車に大麻などの薬物を積んでいる可能性があります。
事情を知らずに同乗し、一緒に検挙されることがないようヒッチハイクは控えましょう。
まとめ|マレーシアの大麻所持は日本より厳罰が下る
マレーシアは現在、少量の大麻所持は非合法化しているものの、200g以上の所持は死刑や無期懲役刑などの極刑に処される可能性があります。
外国人であっても処罰の対象になるため、大麻関連の犯罪に巻き込まれないように、紹介した注意点に留意してください。
なお、本記事では大麻事情に触れていますが、マレーシアでの大麻(CBD)の所持・使用を推奨するものではありません。
日本では大麻取締法によって大麻の所持・栽培・売買・使用は厳しく禁じられています。
場合によっては、帰国後に逮捕される可能性もあるので、絶対に大麻を使用しないでください。
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