マレーシアで地震は起こる?マレーシアの自然災害や対策について解説

マレーシアは地震の発生率が低く、世界的にも自然災害が少ない国の一つです。
台風や地震を経験している日本人にとっては、マレーシアの生活環境は快適であり、移住先候補として人気です。
ただし、日本より自然災害が少ないものの、ヘイズ(煙害)の被害が深刻なので、マレーシア政府は対策に追われています。
さらに、自然災害に対する防災意識や復興へのプロセスに関しては、災害が多い日本とは異なる点があります。
本記事では、マレーシアでの地震の発生頻度、経済的影響、復興への取り組みについて解説します。
Contents
マレーシアで地震は起こる?経済的影響は大きい?

本章では、マレーシアでの地震の頻度や特徴、経済的影響について以下4つを解説します。
- マレーシアでの地震の頻度
- マレーシアで地震が発生する仕組み
- 地震による経済的被害・影響は?
- マレーシアの自然災害から復興への道のり
これからマレーシアへの移住や旅行を考えている方は、参考にしてみてください。
1.マレーシアでの地震の頻度
マレーシアでの地震の頻度は比較的低く、規模の小さい地震が年に数回発生します。
特に首都のクアラルンプール周辺は、活断層や火山が存在していないため、地震が来ても揺れていることに気づかない可能性もあります。
これらの地震は周辺諸国が震源地となっているため、マレーシア国内で大規模な被害を引き起こすことはまれです。
2.マレーシアで地震が発生する仕組み
太平洋に接しているニュージーランド、インドネシア、日本、北米、中米、南米などは「環太平洋火山帯(造山帯)」に位置しています。
太平洋を囲むように火山が密集・位置し、世界で起こる地震の約90%がこの火山帯で発生しています。
マレーシアの場合、インドネシアを震源とする地震の影響を受けることが多いです。
【関連:1 世界の火山(内閣府)】
3.地震による経済的被害・影響は?
マレーシアの左下に位置するインドネシアのスマトラ島では、数年おきにスマトラ島沖で大規模地震が発生しています。
2004年に発生した大規模地震はマレーシアを含む周辺諸国にも大きな被害を及ぼし、被害総額は68億ドル(約9680億円)を超えました。
マレーシアではペナン州やクダ州を中心に被害が大きく、漁船・魚網・養殖場の損壊が数多く報告されています。
地震の影響で、ビーチにはゴミが押し寄せ、一部のリゾートホテルは清掃などの対応に追われました。
その他、農家の被害報告も多く、被災直後は避難民が6,000人を超えたと報告されています。
【関連:1-3 インドネシア・スマトラ島沖大規模地震(内閣府)】
4.マレーシアの自然災害から復興への道のり
2004年のスマトラ島沖大規模地震が発生した際、マレーシアには連邦政府や世界各国の団体から寄付金が集まりました。
同年内には被害地域の清掃活動がほぼ終了し、当時のマレーシア首相は「寄付金額は絶えず増加しており、自力での津波被害に対応できるため外国に援助を求める必要はない」と声明を発表しました。
【その他当時のマレーシアの復興状況】
- 翌年に避難民への帰宅、仮設住宅への帰宅が許可
- 被災者向けの恒久的な住宅の建設
- 風評被害による水産物の消費回復と価格の安定化
- 被災者が不当解雇された場合の雇用者の調査・法的処置
- 連邦政府は被災者への見舞金2,143万RM(約6億円)を寄付
- 住宅建設費用2,076万RM(約5億8,000万円)を寄付
- 漁業、農業のインフラ修復費用2,300万RM(約6億4,000万円)を寄付
など
地震発生時の状況把握、被災者の生活再建、義援金用途の不正を監視するなど、州政府や連邦政府は迅速に対応しています。
マレーシアが取り組む地震対策や防災対策

マレーシア政府は地震や災害に対する対策を重視していますが、個人レベルでの災害対策や防災意識を持つことも重要です。
本章では、マレーシア政府が取り組む地震・災害対策についてや、個人レベルでの地震発生時の適切な行動について以下3つを解説します。
- マレーシアの地震・災害対策への取り組み
- 地震発生時の適切な避難行動は?
- 地震発生時の信頼できる情報源は?
マレーシアにかかわらず、外国で自然災害にあった場合に必要な情報なので、参考にしてみてください。
1.マレーシアの地震・災害対策への取り組み
マレーシアでは近年、地震や気候変動による洪水被害が増えているため、防災活動の仕組み作りが求められています。
2015年には国家災害管理局(NaDMA)が設置され、州・郡・地域コミュニティレベルでの防災対策が強化されつつあります。
また、防災先進国である日本の防災研究機関が、2018年からマレーシアの大学や州政府と共同で防災強化事業に着手し、地域住民が専門的な防災知識を学ぶ機会を増やす取り組みをしています。
【関連:草の根技術協力(JICA)】
2.地震発生時の適切な避難行動は
地震の揺れを感じた場合、慌てずに身のまずは安全を確保しましょう。
その後、落ち着いてスマホ・テレビ・ラジオなどで正確な情報を把握してください。
状況別での適切な避難行動は以下です。
【屋内にいる場合】
- 机などの丈夫な家具の下に隠れる
- 火を使っている場合はその場で消火する
- 扉を開けて避難路を確保する
【外出している場合】
- 頭を保護し安全な姿勢を取る
- 吊り下がっている照明などの下から避難する
- 慌てて出口や階段に殺到しない
- エレベーターにいる場合は最寄りの回ですぐに停止させて降りる
- 運転中は慌てず緩やかに速度を落とす
- ハザードランプを点灯して周りの車に注意を促す
- ビル、看板、窓ガラスの落下に注意して建物から離れる
日本は地震多発国で、外国人よりも地震発生時の対応に慣れている人が多いです。
マレーシアに限らず外国で地震に遭遇したら、まずは落ち着いて自分の身の安全を確保しましょう。
むやみに移動せず、落ち着いて安全な場所にとどまることが大切です。
【関連:地震の時はどのように行動したらいいか?(首相官邸)】
3.地震発生時の信頼できる情報源は?
地震発生時は、テレビやラジオなどで報道機関の情報を把握しましょう。
地震や津波で電線が切れた場合、通信インフラが使用できなくなる可能性があります。
SNSを情報伝達手段として活用すると災害時に役立つ情報を手に入れられます。
ただし、誤情報が流れる可能性が大いにあるため、信頼できるアカウントからの情報を入手しましょう。
マレーシアは地震よりもヘイズ(煙害)が深刻

現在のマレーシアは、地震よりもヘイズへの対応に追われています。
本章ではヘイズに関して、ヘイズがどのようなもんか?とヘイズの効果的な対策について紹介いたします。
マレーシアのヘイズ(煙害)とは?
インドネシアにおける焼畑農業や山火事、排気ガスによって引き起こされる煙害のことを「ヘイズ」と言います。
モンスーン(季節風)によってマレーシアに汚染された空気が流れ、健康被害が多数報告されています。
ヘイズは待機中の微小な粒子や有害な化学物質を含むため、健康への被害が深刻です。
特に子供や高齢者、呼吸器疾患や心臓病を抱えた人にとっては健康リスクが高まります。
【関連:在ペナン日本国総領事館】
ヘイズ(煙害)の効果的な対策
マレーシア政府当局からは、以下のような対策が推奨されています。
- 外出や屋外での活動を減らす
- 外出時にはマスクを着用する
- 手洗い、うがい、洗顔に勤める
- 室内環境の整備をする(エアコンのフィルター清掃、床の拭き掃除など)
- 喫煙を控える
- 症状があれば医療機関を受診する
マレーシアでは1日3回API(大気汚染指数)が発表されています。
APIが300を超えた地域は学校閉鎖を推奨されるなど、被害は深刻化しているので、マレーシア政府当局の情報を参考にしてみてください。
まとめ|マレーシアの地震被害は小さいが防災対策は必須
マレーシアは日本と比べると、地震被害は少ないですが、地震による津波やヘイズなどへの対策が必要です。
ヘイズに関しては健康被害が深刻なため、手洗いうがいを徹底し室内環境を整備しましょう。
自然災害が少ない国として知られていますが、もしもの時に備えて避難通路の確認や、情報の入手先をまとめておくのがおすすめです。
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